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医療相談Q&A こんなときどうすればいい?

先生に教えて欲しい様々な質問に、わたしたちの街のドクターが答えます!
サンデーうべ「医療相談Q&A」、サンデーワイド「先生おしえて!!」の記事を掲載しています。

Q.
 50歳男性です。3年前に健康診断で血糖値上昇を指摘され、近所の内科で治療を受けています。糖尿病はいろいろな合併症が怖いと聞いています。具体的に教えてください。


A.
 糖尿病の確定診断で治療を受けておられる場合、かかりつけ医の定期的な血液検査と検尿で経過がわかります。第一に大切なのは血糖値のコントロールですので、食事療法と運動療法の指導を受け、主治医の処方する内服やインスリンを指示どおり実施してください。先生から「血糖値がよくなった」と言われるようになったら、これらを維持し、併せて低血糖を起こさないことが合併症から自分を守るために重要です。

 さて糖尿病の合併症は「細小血管障害」と「大血管障害」に分けられます。

 「細小血管障害」には「糖尿病性網膜症」「糖尿病性腎症」「糖尿病性末梢神経障害」の3つがあります。網膜症は糖尿病の罹病期間が20年を超えると80%以上になります。網膜症が重症化し視力障害を来す例は最近では年間4000人とされ、成人の中途失明の原因の第2位です。腎症は、罹病後10年くらいを経て発症してきます。初期は腎機能正常で尿中に微量なアルブミン(蛋白の一種)が排泄されるようになり、次第に蛋白尿となります。その後、糸球体濾過量が低下し、血清クレアチニンの濃度が上昇し、最終的には腎不全に至り、透析治療がないと生きていけない状態になります。透析が必要になる原因の第1位は糖尿病性腎症です。末梢神経障害とは足の指先の違和感、しびれ、足のつりやこむら返りなどから始まります。その他心臓、血圧や胃腸の動きを司る自律神経の障害が起こります。 「大血管障害」とは脳血管障害や心筋梗塞のことで、糖尿病患者の脳梗塞の頻度は非糖尿病患者の約2倍で、若年者に多いのが特徴です。また心筋梗塞の発症頻度は非糖尿病患者の3〜4倍です。
 
 いずれも重篤になると日常生活を脅かす大病となります。いきいきと生きることができるよう、糖尿病合併症を防ぐために定期的な通院加療をお勧めします。


サンポプラ病院院長 南園 宗子先生

■プロフィル
平成6年 山口大学医学部卒業 日本腎臓学会専門医 日本透析医学会専門医 日本内科学会認定医 日本医師会認定産業医(所属学会:日本腎臓学会、日本透析学会、日本内科学会、日本糖尿病学会)
(2017年3月22日 サンデーうべ掲載)