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この街この人

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第17回 里親が見つかった時が一番さみしくてうれしい時

猫庭館長 手島 姫萌さん


 山口市阿知須にある、てしま旅館が運営する保護猫施設『猫庭(ねこにわ)』。貨物コンテナを改装した施設には、捨てられたり虐待を受けたり、飼い主の高齢化や死亡により行き場をなくした20匹ほどの猫たちが暮らしている。
 今から3年前、山口県の猫の殺処分数は全国ワースト4だった。そのショッキングな現状を知った旅館オーナーの手島英樹さんが殺処分ゼロを目標に掲げ、インターネットでプロジェクトに賛同してくれた人から資金を調達する「クラウドファンディング」を実施。目標額に達し、猫庭が完成した。英樹さんの次女で当時小学3年だった姫萌(ひめも)さんが館長を務めることとなった。
 トイレや床の掃除に始まり、健康管理や猫それぞれの性格・特徴の観察、猫同士の中などを見逃さないようチェック。旅館の宿泊客を対象にした猫庭の案内も1日2回行う。さらに毎週日曜日は、宿泊客への応対3回に加え、譲渡会も実施している。
 遊ぶ時間はあるのかとの問いに「今は遊ぶことよりも一匹でも多くの猫ちゃんが幸せになってほしい」とかわいらしい笑顔をみせる。
 譲渡する際には猫と飼い主の相性を見極めるため、受け入れ先の家の状態、猫を飼った経験などとにかく話をすることが大事だと話す。また受け入れるだけではなく、感染症の予防接種や去勢・避妊、病気の治療など、譲渡へ向けての取り組みも欠かさない。
 エサや医療大などの運営費は、募金や猫庭グッズの販売に加え、ユーチューブの生配信で視聴者から支援を募る「スーパーチャット」からも工面している。
 1年間に猫庭で保護する猫は約110匹。猫庭スタート時に比べ、県内の殺処分数は1/3程に減少したというが、「まだまだ保護できる数が少ない」と姫萌さん。「猫をおもちゃのように扱い、かわいくなくなったら捨てる人がいる。命ある自分の子どものような気持ちで飼ってほしい」と訴える。
 将来は動物に関わる仕事に就きたいと話しており、「獣医さんが助けられる命もあれば、猫庭のような保護活動で救える命もたくさんある。この活動はずっと続け、全国に広げていきたい」と抱負を語った。


問い合わせ
てしま旅館
山口市阿知須7418-8
0836-65-2248
※譲渡会は毎週日曜日12:00〜14:00
https://teshimaryokan.com/

(サンデーワイド 2019年6月28日号掲載)