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医療相談Q&A こんなときどうすればいい?

わたしたちの街のドクターが答えます!

Q.
 特定健診で腹囲92cm、血圧136/88、中性脂肪175、LDL140、HDL38、血糖104と軽度の異常を指摘され、メタボリック症候群といわれました。減量を指示されました。血圧、高脂血症、血糖の異常値はいずれも軽度なので放置していてもよいでしょうか?また、すぐに薬を飲む必要はないのでしょうか?


A.
 メタボリック症候群とは、内臓脂肪の蓄積が原因となり、高脂血症、高血圧、糖尿病の生活習慣病を複数発症した状態で、動脈硬化に基づく心臓血管系疾患を引きおこします。

 脂肪細胞からは、アディポサイトカインというホルモンが分泌されています。アディポサイトカインには、「善玉」と「悪玉」があり、「善玉」は動脈硬化予防効果があり、「悪玉」は、高脂血症、高血圧、糖尿病さらには動脈硬化の発症に関与しています。内臓脂肪の蓄積は「善玉」を減らし、「悪玉」の分泌を増やします。

 メタボリック症候群は体重の4%(腹囲3cm)を減量すると検査値が改善できる可能性が高いので、あなたの場合も、現在の検査値では、直ちに血圧高値、高脂血症、高血糖の個々の病気を薬で治療するよりは、まずその原因の内臓脂肪を少しでも減らすことが重要です。幸い、内臓脂肪は皮下脂肪に比べて溜まりやすいが、燃焼しやすいので、まず運動療法と食事療法も含めた生活習慣の是正が大切です。


ひろなか内科循環器科 弘中 克己先生

■プロフィール
平成2年山口大学医学部卒業
平成9年山口大学大学院より医学博士授与 山口大学医学部付属病院、山口労災病院、美祢市立病院等で勤務
平成20年ひろなか内科循環器科開院 循環器専門医 内科認定医

      
(2016年6月29日 サンデーうべ掲載)