第3回 BMXの楽しさを多くの人に伝えたい。
BMX フリースタイル プロライダー
中務クリス泰法さん
競技用小型自転車BMXに乗ってアクロバティックな技を競う「BMXフリースタイル」。競技は起伏のあるコースで速さを競う「レース」と、「フリースタイル」の2種目がある。フリースタイルは、ジャンプ台や斜面などの障害が設置された専用リンクで行われ、ジャンプの高さやトリックの精度、独自性などを競う。
山口県で唯一、フリースタイルのプロライダー資格を持つ中務さんは、ペルージャカップ優勝、全日本シリーズランキング3位、エックスゲームズアジア大会日本代表など、国内外で数々の実績を所持している。
BMXを始めたのは11歳。人とは違うことで「モテたい」という動機からだったと笑顔をのぞかす。すでに中学時代にはプロライダーになることを決意し、地元宇部での練習だけでなく、設備の整った防府市や広島、福岡まで足を運んで技を磨いた。
プロになる直前、ジャンプ台から4〜5m程を飛んだ際、頭から落下。背骨がずれ、胃と腸の機能が3日間停止し、死のふちをさまよった。それでも一番辛かったことは?と問われると、自転車に乗れないことと話す。奇跡的な回復後は、死にもの狂いでスポンサー探しに奔走し、さまざまな大会に出場し続けた。大会優勝後、17歳でプロクラス入りを果たした。
技の完成度、格好良さ、高さが出せる乗り方、スピードなどを意識して練習に励む日々。県内は都市部に比べ設備が整っておらず、練習する上では不利だが、厳しい環境だからこそ得られるものがあると言う。
プロ14年目となる現在は、スポンサーである会社の社員として働きながら、大会への積極的なエントリーや、県内外のショーへの参加、有名アーティストのツアーにパフォーマーとしても参加している。
2020年東京五輪の追加種目に決定したBMXフリースタイルパーク。強化選手の選抜入りを目指し、日夜練習に励んでいる。
(サンデーうべ 2017年12月8日号掲載)