地元探訪記 Vol.110
『笹山橋と東芝中水路』
笹山橋の全体像
恩田から岬方面に向かう笹山通りの宇部線を横切った先に、市内最短の〝橋〟があります。コンクリート水路の両側に橋の名を刻んだ親柱が据えられています。反対側の石材には昭和57年改修と追加で刻まれているので、昔は石橋だったのでしょう。一跨ぎできる幅の水路に親柱が備わっているのは珍しく、何かわけがありそうです。
下流側の親柱
水路を上流まで辿ってみると、五十目山町と末広町の境で少し幅の広い別の水路に突き当たりました。すぐ近くに樋門があったので、ここで川を堰いて水を回しているようです。資料で調べたところ笹山橋に向かうこの水路は東芝中水路で、幅広の水路は中川という名前でした。
中川が自然河川なのに対し、東芝中水路は人工的に造られた水路と思います。笹山橋からは流路を西に変え、中央公園付近まで達して塩田川に注いでいました。この複雑な流路は、広範囲の田に水を回すために緩やかな勾配の水路を造った結果です。中川のように南へ流れないのは、松山通りから伸びる砂州に阻まれるためです。
先人たちはどうやってこの経路を見つけたのでしょう。前身となる小川があったのでしょうか。笹山橋に親柱が据えられたのも、重要な水路だったからと想像されます。高い方には流れない水を連続的に供給する用水路の経路は、住宅に囲まれて存在感が薄くなった現在も周囲が水田だった頃の地形の起伏を伝えていました。
漢字表記、平仮名表記、年号
宇部線横断部
東芝中水路の上流端と民家裏の水路
塩田川注ぎ口
文責/宇部マニアックス(山本健二)
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※2025年07月25日に修正・更新した記事です。 お出かけの際はお店の公式サイトやSNSなどで最新の情報を確認してお出かけください。