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地元探訪記 Vol.87
『五田ヶ瀬井堰』

2023.08.26

五田ヶ瀬井堰は厚東川の下流から2番目にある井堰で、広瀬や厚南平野に灌漑用水を送る御撫育用水路の取水地です。先月の大雨も一息つき、現在は井堰の上をすだれのように水が流れ落ちています。しかし…昭和14年、五田ヶ瀬井堰から水が流れ落ちるどころか一滴の水漏れもない深刻な干害に見舞われました。

霜降山~厚東川、堰全体像

堰を流れ落ちる水

将棋の駒のような飛び石

河川水の利用には上流優先の原則があります。五田ヶ瀬井堰で厚南村が御撫育用水を取り、すぐ下流に小野田向けの取水地があります。宇部市は下流の末信水源地に頼っていたため、充分な水が取れなくなりました。更に干上がった厚東川を海水が逆流し、末信水源地に浸透する最悪の事態が起きました。宇部市は御撫育の水を分けて欲しいと厚南村に交渉しましたが、広大な開作地を擁する厚南村にとっても御撫育用水は命の水であり、協議は難航しました。

左岸側にある魚道

右岸側にある石碑

厚東川と御撫育用水の流れ

最終的に宇部市が厚南平野の米を買い付ける代わりに御撫育の水を宇部側へ流すことで決着しました。それでも水を売り渡したことの批判は大きく、当時の厚南村長が辞任しています。その翌年も雨が少なく、同じ事態を繰り返さないように掘られたのが温見の補助水源(Vol.45参照)でした。
現在はダムがあり状況は異なるものの、ダム湖も厚東川も干上がり五田ヶ瀬井堰から再び水が流れなくなるほどの旱魃は杞憂でしょうか。近年の変動幅が大きい気候を懸念しています。

水利改修記念碑

文責/宇部マニアックス(山本健二)

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※2023年08月26日に修正・更新した記事です。 お出かけの際はお店の公式サイトやSNSなどで最新の情報を確認してお出かけください。

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