地元探訪記 Vol.58
『西見峠と逢坂』
宇部市は本州の南寄りの瀬戸内海に面した地域にあるため、名前の付いた険しい峠は殆どありません。船木逢坂と厚狭の間にある西見峠も最高地点は僅か57mです。
西見峠は、幼少期に厚狭へ遊びに行っていた頃を思い出す場所です。当時の西見峠は両側が狭い衝立のような切り通しで、もの凄い圧迫感がありました。車で通過するときトンネルのように車内が暗くなったほどです。峠を過ぎると突然視界が開けて明るくなり、カーブしながら厚狭の街へ下っていく景色が印象的でした。平成期に入って峠の東側斜面が削られ広くなりましたが、西側には今も落石防止網の基礎跡がみられます。
遙か昔の街道時代、峠はもっと高い場所を通っていた筈です。古い資料では逢坂に西目垰(にしめだお)という地名がみられ、峠の西側が開けた地勢を想像させます。街道を歩いた旅人は、幼少期の私以上に感慨深げに厚狭の街並みを眺めていたことでしょう。
逢坂には国道と重ならない街道筋があり、一部に石畳路が遺っています。この石畳路を造ったのは、またしても千林尼(Vol.24「千林尼の石畳道」)です。堂主も務めた近くの逢坂観音堂には千林尼のお墓があります。
国道2号バイパス完成後に西見峠を含む区間は県道へ降格され交通量が減りましたが、西見峠越えは今も船木と厚狭を結ぶ重要な経路であり続けています。
落石防止網の基礎が今も遺る
厚狭側から撮影
僅かに残る石畳路
逢坂観音堂
千林尼のお墓
観音堂道標
文責/宇部マニアックス(山本健二)
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※2021年03月26日に修正・更新した記事です。 お出かけの際はお店の公式サイトやSNSなどで最新の情報を確認してお出かけください。