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Vol.109
『船岩ー和平の象徴』

2025.06.27

善和交差点の南東に船岩という奇妙な形の岩があります。阿知須に向かう県道の途中にある船岩入り口から小川沿いを歩く途中、行場跡のような場所を通ります。案内標識にしたがって急な斜面を登って尾根伝いに歩くとその岩が見えてきます。岩自体は霜降山などによく見られる普通の岩質で、長細く先が少し持ち上がる形状が小舟そっくりです。しかしここは舟のような形の岩があるという以上の意味を持つ場所でした。

この辺りは周防と長門の国境が通っていた場所に近く、東側は佐山、井関(現在の阿知須)に接していました。両村から薪などの資源を採取に入ることで争論が発生し、乱闘まで起きていました。争いは長引き、境界決定が困難なためこの辺りはどの村にも属さない間地(かんち)とされました。慶応四年、藩が境界を定めると共に独立した宰判を置き、間地を廃止して「善く和せよ」を意味する善和村としました。大正5年に論争のあった地を一望できる船岩周辺に植樹を行い、隣接5カ村が共有する記念林として永らく続いた境界争いが終結したのです。

先月再訪したとき船岩の周辺を調べましたが、当時の植樹を特定することはできませんでした。南側にある青岳への登山道も地形が変わり消滅していましたが、船岩だけはこの先も変わらずこの地の争論の歴史と和平後の記念植樹を記憶に留め続けることでしょう。


船岩入り口(A)と標識柱

県道から入り口を撮影

修行の場?(B)

急斜面の入り口(C)

船岩の全体像(D)

船の形をした船岩と標識柱

地理院地図

文責/宇部マニアックス(山本健二)

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※2025年06月27日に修正・更新した記事です。 お出かけの際はお店の公式サイトやSNSなどで最新の情報を確認してお出かけください。

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