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この街この人

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第12回 ご褒美スイーツよりデイリースイーツ

管理栄養士 パティシエ 瀧本 智子さん




 愛媛の病院で管理栄養士として7年間働いた後、保険調剤薬局をメイン事業とするプロッグ(本社宇部市)に入社。奈良県での薬局勤務を経て、同社では初の取り組みとなるスイーツ部門の立ち上げに参画。責任者に抜擢され、菓子工房がある宇部市へ移り住むことを決めた。

 見知らぬ土地へ移ることに抵抗はなかったのかという問いに「全然!」と、とびきりの笑顔を見せる。学生時代から料理やお菓子作りが好きであったことに加え、管理栄養士としての経験もあったため、ためらいはほとんどなかったという。


 スイーツのレシピは完全オリジナル。「他店のような煌びやかさはないが、味は引けを取らない」と自信を見せる。旬の果物と野菜、国産の小麦粉や精製されていない砂糖、できるだけ無添加の材料を使用した、体が喜ぶスイーツとして人気を集めているが、“無添加スイーツ”の製造にたどり着くまでには相当な苦労があった。ゼロからのレシピ作りは予想以上に難航。作業工程などのマニュアル作りには1年を要した。

 努力の甲斐あり、その後売り上げは順調に伸びた。生チョコは、某大手ショッピングサイトの「生チョコ部門」ではランキング1位の常連である。母の日に提供する商品は、他店との差別化を計るために生花とセットで売り出すなど、販売方法も工夫してきた。


 そんな折、宇部市社会福祉協議会から学童保育におやつを提供してほしいとの依頼が舞い込んだ。大人向けのスイーツ作りに専念してきただけに不安はあったが、子供も安心して口にできるお菓子が好評を呼んだ。

 2016年には直売所を工房内にオープンした。対面販売をすることで、利用者と交流し直接情報収集できるようになったことが、レシピへのインスピレーションにもつながった。
 直売所での販売は週に1回。毎週商品を入れ替えて、飽きのこない構成を心掛けている。ショーケースに並ぶ季節のケーキをはじめ、焼き菓子、自家製天然酵母パンのほか、シュークリーム、生チョコ、ロールケーキなども用意している。愛媛県から産地直送される農産物や週替わりのデリ惣菜、玄米むすびも加わり来店者を楽しませている。

 「たまに食べるご褒美としてのスイーツより、気軽に食べられる甘さ控えめの体に優しいスイーツ作りを目指している。食材にこだわるからこそ提供できるデイリースイーツを多くの人に楽しんでもらいたい」と話す。今後は、調剤薬局と共同で食育や健康をサポートする地域拠点を新設予定。
 
問い合わせ
◆トットファクトリー おやつ工房Cotot(コトット)
宇部市あすとぴあ4丁目2-4
電話/070ー2362−5341
営業日/毎週金曜日・第1土曜日 10:30〜16:30(売り切れ次第終了)
ネットショップ/
http://www.totfactory.jp/

(サンデーうべ 2018年10月12日号掲載)