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医療相談Q&A こんなときどうすればいい?

先生に教えて欲しい様々な質問に、わたしたちの街のドクターが答えます!
サンデーうべ「医療相談Q&A」、サンデーワイド「先生おしえて!!」の記事を掲載しています。

Q.
最近食べ物が飲み込みにくいのですが改善する方法がありますか。(72歳男性)

A.
 嚥下障害がおきると食事の際に咳が出る、むせてしまう、食べ物がつかえたり、残ってしまう、時間がかかるなどの症状が見られます。原因としては脳卒中やパーキンソンなどの神経や筋肉の病気、舌・咽頭・喉頭癌などがあります。加齢によるものも多く、窒息、意欲低下、脱水、栄養障害、嚥下性肺炎の原因となり、訓練で改善が期待できます。
 具体的には(1)口唇、舌、頬の運動は口唇や顎を突き出し、左右に動かしたりします。頬を膨らませ、すぼませたりします。舌は左右の口角につけ、突き出し、回したりします。(2)発声トレーニングもありパ行、ラ行、タ行、カ行などを用い、パタカラ、リャリュリョ、ミャミュミョを長く繰り返します。アイウエオをウオアイエアオと繰り返します。口をとがらせプルプルと発声し、舌でララララと続けます。両手に力を込めて壁や椅子を押しながら強く発声します。(3)呼吸の訓練は、鼻から息を吸ってゆっくり最後まで吐き出し、お腹をへこませます。これらはいずれも数回から10回程度繰り返します。ラジオ体操、ウオーキングやカラオケなども有用です。肩の力を抜いて首を左右前後やグルっと回しリラックスします。
 食事については、まず椅子にきちんと座り、お粥、ゼリー、ゼラチン、ムース、ペースト状のものを用い、液状のものはむせやすく、とろみを付けて飲み込み易くします。肉は小さく刻みます。ひと口食べたあと嚥下を繰り返し、"ながら食い"は避けます。最後は食べ物が口の中に残らないよう丁寧に歯磨きをしたり、口の中の汚れをとり、清潔を保つ口腔ケアをして肺炎を予防します。出来る事から取り組んで下さい。

吉中内科医院院長 吉中 博志先生

■プロフィル
金沢大学医学部卒業。山口県立中央病院、山大内科系大学院、宇部興産中央病院などを経て昭和60年に開業。日本臨床内科学会専門医。
(2019年11月1日 サンデーワイド掲載)