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医療相談Q&A こんなときどうすればいい?

先生に教えて欲しい様々な質問に、わたしたちの街のドクターが答えます!
サンデーうべ「医療相談Q&A」、サンデーワイド「先生おしえて!!」の記事を掲載しています。

Q.
家庭血圧を測定していますが、とくに冬に早朝血圧を測定する、寒い日には高いことがありますがなぜでしょうか?またヒートショックとの関係はどうでしょうか?

A.
 室温の低いところで測ると上がることは、事実としてあります。実際には、寒すぎない、暑すぎない18度前後で測るのが適切だといわれています。
 極端な温度変化によるヒートショックが問題となっています。ヒートショックとは、家の中の急激な温度変化がもたらす身体への悪影響のことです。急激な温度変化で血圧が大きく変動することで、失神や心筋梗塞、脳梗塞などを起こすことがあり、家庭内で高齢者が死亡する原因の4分の1はヒートショックによるとの報告もあります。少なくとも交通事故の2倍の死亡数であり、大きな問題です。
 WHOは2018年に、冬の住宅の最低室内音との調査で、朝の居間の室温が18度未満の住宅に住む人の、健診での悪玉コレステロール、また心電図異常所見が有意に高い報告があります。ある調査では、今では6割、心室・脱衣所では9割の家が18度に達していなく、心室・脱衣所の平均値は12度という報告があります。
 日本の住宅は、かつて断熱性能に関しては二の次にされてきた感があり、家の中の温度条件を全体的に快適に保てる住宅性能の家の普及が遅れています。問題ある家の建て替え、改築を早急にすることは困難な場合も多いと思いますが、、特に冬場は高齢者の入浴の際に、部屋と脱衣所・浴温の温度差に注意が必要です。脱衣所をヒーターやエアコンで温めたり、浴室にお湯を撒いて温めたりするような工夫をしてみて下さい。

ひろなか内科循環器科 弘中 克己先生

■プロフィル
平成2年 山口大学医学部卒業 平成9年山口大学大学院より医学博士授与 山口大学医学部付属病院、山口労災病院、美祢市立病院等で勤務
平成20年ひろなか内科循環器科開院 循環器専門医 内科認定医
(2020年2月12日 サンデーうべ掲載)