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医療相談Q&A こんなときどうすればいい?

先生に教えて欲しい様々な質問に、わたしたちの街のドクターが答えます!
サンデーうべ「医療相談Q&A」、サンデーワイド「先生おしえて!!」の記事を掲載しています。

Q.
急に発熱、頭痛、体のだるさ、食欲不振、吐き気があり、病院に受診しましたが、血液検査で肝機能の数値(AST、ALT)が基準値を超え、急性肝炎と診断され、入院となりました。肝炎ウイルス検査は全て陰性であり、薬物性肝炎も否定的であり、自己免疫性肝炎の可能性があるといわれ、検査中です。自己免疫性肝炎とは、どんな病気でしょうか。(45才女性)

A.
 「急性肝炎」は短期間に肝臓に炎症が起こる疾患です。原因には、ウイルス性、薬物性、自己免疫性など様々なものがありますが、基本的には自然治癒します。しかし、一部は慢性化しますし、一方で1〜2%は重症化して劇症肝炎(急性肝不全)と呼ばれる重篤な病態になるため注意が必要です。最近増えてきているのは、自己免疫性肝炎です。この病気は中高年の女性に多いとされていましたが、男性にもみられるようになりました。自己免疫性肝炎は全身の免疫のバランスにより、自分の肝臓の細胞(肝細胞)を外敵と認識してしまって、免疫細胞(白血球の一種)が肝細胞を攻撃してしまうことで起こります。肝硬変に進むこともあるので、正しい診断と治療で肝炎が進行しないようにすることが重要です。ステロイド剤は、その治療薬として最もよく使われていて効果が期待できる薬剤です。
 また、A型肝炎、B型肝炎ウイルスは、性交渉で感染するケースが増えてきているため注意が必要です。健康食品やサプリメントによる薬物性の肝障害も増えてきていますので、安易に購入し安全と思い服用しないように気をつけることが大切です。

てらい内科クリニック 院長
寺井 佳子先生

■プロフィル
専門:内科一般、消化器科
資格:日本内科学会認定内科医、日本消化器学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医
(2020年3月6日 サンデーワイド掲載)