Q.
以前より検診で高コレステロール血症と言われています。食事や運動を心掛けていますが改善しません。(52歳男性)
A.
血中コレステロールの異常で実際に問題となるのは、悪玉コレステロール(LDL)が高い場合と善玉コレステロール(HDL)が低値の場合です。LDLコレステロールは肝臓から全身にコレステロールを運ぶ働きをするため、これが多いと血管壁にもコレステロールが過剰に沈着し、動脈硬化の原因となります。HDLコレステロールは逆に過剰なコレステロールを回収し、肝臓に戻す働きをします。高コレステロール血症自体で自覚される症状は出現しませんが、放置すると心筋梗塞や脳梗塞の発症のリスクを高めます。
善玉(HDL)コレステロール低値の場合は現在のところ決定的に有効な薬はなく、運動と体重管理が治療の中心となります。
悪玉(LDL)コレステロール高値の場合、卵や動物性脂肪分の多い食べ物を控えめにし、体重を落とすことは大切です。しかし体内のコレステロールのうち食事が関与する割合は全体の3割ほどで、残りは肝臓で合成されていますので、生活習慣の改善のみでは限界がある場合もあります。その場合は内服薬の開始を検討することとなります。内服薬開始のタイミングや目標とするコレステロール値は高血圧、糖尿病、喫煙など他の動脈硬化の危険因子やすでに動脈硬化が起こっているかどうかによって変わります。
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あさひクリニック院長 大塚 祥司先生
■プロフィル
これまで九州大学病院、国立福岡東医療センター、済生会八幡総合病院、JR九州病院循環器内科などで勤務 |
(2017年8月5日 サンデーワイド掲載) |