Q.
食事をした後に痰が増えますが、何かの病気でしょうか? (75歳、女性)
A.
まず疑われるのが食事中に誤嚥(水分や食物が気管の中に誤って入ってしまうこと)を生じている状態です。水分を取ったり食べ物を飲み込む時、軽く誤嚥すると生理的な予防機構として咳反射が働き、それに伴い痰が喀出されるため、のどに痰が絡まりごろごろした状態になります。誤嚥を生じている状況としては、食事中にむせたり、咳払いが増えたり、食事後に痰が増える症状があり、わかりにくい誤嚥(不顕性誤嚥)としては、食事後に発熱したり(誤嚥性肺炎)、水分を取らなくなったり、食事を摂取しても体重が減ったりする場合です。60歳以上では生理的な誤嚥予防機構である咳反射や嚥下反射が徐々に低下してきたり、何らかの理由で咽頭の知覚低下が生じそのためにむせる事が逆になくなると、こういったわかりにくい誤嚥を生じる可能性があります。また急性咽喉頭炎の後に咳反射が亢進して食事がむせやすくなり、スムーズに飲み込みの動作が出来なくなることもあるので区別しないといけません。誤嚥だけでなく飲み込みにくい症状(嚥下障害)も誤嚥と密接に関係しているので、これらの症状が気になるようであれば一度耳鼻咽喉科を受診してみて下さい。
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田原耳鼻咽喉開院 田原 哲也先生
■プロフィル
平成元年/山口大学医学部医学科卒業、平成6年/山口大学大学院医学研究科修了、医学博士/日本耳鼻咽喉科学会認定専門医/日本耳鼻咽喉科学会補聴器相談医 |
(2017年10月7日 サンデーワイド掲載) |