Q.
家庭血圧を測定していますが、とくに冬に早朝血圧を測定すると、寒い日には高いことがあります。なぜでしょうか?またヒートショックとの関係はどうでしょうか?
A.
室温の低いところで測ると血圧が上がることは、事実としてあります。実際には、寒すぎない、暑すぎない18度前後で測るのが適切だといわれています。
日本では、家の中の温度環境を全体的に快適に保てる住宅性能の家の普及が遅れています。極端な温度変化によるヒートショックが問題となっています。ヒートショックとは、家の中の急激な温度変化がもたらす体への悪影響のことです。急激な温度変化で血圧が大きく変動することで、失神や心筋梗塞、脳梗塞などを起こすことがあり、家庭内で高齢者が死亡する原因の4分の1は、ヒートショックによるとの報告もあります。少なくとも交通事故の2倍の死亡数であり、大きな問題です。
本来は建設業界で使われていた言葉で、家の中の温度環境を全体的に保つための重要性、そのためには住宅の断熱、気密性を担保する重要性を説明するために用いられていたようです。
特に冬場は高齢者の入浴の際に、部屋と脱衣所・浴室の温度差に注意が必要です。脱衣場をヒーターやエアコンで温めたり、浴室にお湯を巻いて温めたりするような工夫をしてみて下さい。
|
ひろなか内科循環器科 弘中 克己先生
■プロフィル
平成2年 山口大学医学部卒業 平成9年山口大学大学院より医学博士授与 山口大学医学部付属病院、山口労災病院、美祢市立病院等で勤務
平成20年ひろなか内科循環器科開院 循環器専門医 内科認定医 |
(2018年12月26日 サンデーうべ掲載) |