Q.
最近、胸がどきどきするため、病院を受診したところ、心房細動と診断されました。放置しておくと、どうなりますか?(70歳、男性)
A.
心房細動とは、心臓のリズムが乱れ、血液が心臓の中で停滞してしまう状態のことです。正常の場合、私達の心臓は1分回に60〜80回の収縮と拡張を繰り返し、血液を全身に送り出しています。ところが何らかの原因で電気信号が乱れると、心臓が不規則にふるえてうまく収縮できなくなります。すると心臓のドキドキを強く感じたり(動悸)、脈の乱れ(不整脈)が起こり、それが胸苦しさなどの症状となって現れるのです。最近は、心房細動は脳梗塞の重要なリスクとして認識されるようになってきています。心房細動が起こると、心臓内に血液が停滞するため、血栓ができやすくなります。その血栓が脳へと移動して、脳梗塞を引き起こすのです。
心房細動は、一般に高齢者に多いのですが、30〜50歳代の方が経験することも珍しくありません。ストレスや睡眠不足が続いたときなどに、心房細動を起こすことがあります。心房細動を放置しておくと、次第に回数が増え、繰り返す状態になる可能性があります(慢性心房細動)。慢性化すると、回数が増えるぶん、血栓ができる危険性も高くなります。その結果、ある時、急に脳梗塞を起こすというケースが多いのです。
現在、脳梗塞のうち、心房細動が関係するタイプは約30%を占めるほどに増えてきています。それだけに症状が軽くても、心房細動と思われる症状(動悸、不整脈、胸苦しさ、息切れなど)を経験した場合は、早めに検査(心電図、心エコーなど)を受けることが大切です。
|
宇部仁心会病院院長 松本 奉先生
■プロフィル
大阪医科大学卒業、日本内科学会認定医・日本循環器学会専門医・日本医師会認定産業医
≪所属学会≫日本内科学会・日本循環器学会・日本透析学会・日本静脈経腸栄養学会
|
(2018年7月25日 サンデーうべ掲載) |